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「プロンプトエンジニアリング」はもう要らないって?

大下勇次

「AIを使いこなすには、”プロンプトエンジニアリング”が必須」。 そんな言葉をよく聞く。まるでAIという巨人を動かすための「秘密の呪文」みたい。でも、僕らビジネスパーソンからすると、その「呪文」を覚えること自体が、正直”難しい”と感じない?

「AI活用」って聞くとワクワクするのに、「プロンプト」って言葉が出た瞬間に、急に専門知識の壁を感じて一歩引いてしまう。僕もまさにそうだった。

でもね。もし、その難解な「呪文」自体を、AI自身に作らせることができるとしたら……? 今日はそんな、AIとの付き合い方がガラッと変わるかもしれない「ある実験」と、そこから見えた未来についての話をしようと思うんだ。

なぜ僕らは「AIプロンプト」をこんなに”難しい”と感じるのか?

そもそも、なぜ「AIプロンプト」はこんなに難しいんだろう。 理由はたぶん、僕らがAIを「完璧すぎる部下」か何かだと勘違いしているからだ。

「的確な指示(プロンプト)さえ出せば、100点の答えが返ってくるはず」。 そう信じているから、「的確な指示」が出せない自分にモヤモヤする。「AI活用」とは、まるで「いかにAIをうまく騙し、おだて、最高のパフォーマンスを引き出すか」という高度なゲームみたいになってる。

その結果が、「プロンプトエンジニアリング」という、ちょっと大袈裟な言葉の流行だ。 でも、僕らが本当にやりたいのは、そんな「AI使い」の達人になることじゃなくて、日々の仕事をちょっとラクにしたり、新しいアイデアのヒントをもらったり、そういうことだったはず。

その壁、「プロンプトエンジニアリング」ごとAIに任せてみないか?

その「プロンプトが難しい」という壁。面白いのはここから。

「そうだ、この『難しい』という悩みごと、AIに相談してみよう」 つまり、AIに「AIの使い方」を教えてもらう。さらには、AIに「AIを動かすためのプロンプト」そのものを”自動化”させてみる

AIを「指示する対象」から、「一緒に考えるパートナー」として扱う。この発想の転換が、想像以上に面白かったんだ。

僕が試した「AI活用」の具体的なステップ

僕が実際に試したのは、このブログ記事の素案を作るプロセス(もちろん、この記事もAIと一緒に作ってる)や、業務でのチラシ作りだった。

ステップ1:AIに「先生」になってもらう(Deep Researchでの調査)

まず、僕はGeminiのDeep Research機能(※)を使って、AIに「先生」になってもらった。 「SEOに強いブログ記事の書き方って、どういう手順でやればいいの?」 「センスのいいチラシを作る前に、決めておくべきことって何?」 (※Deep Research:Gemini Advancedの機能で、複雑なリサーチを深く実行してくれる)

AIは、その道のプロが書いたような詳細なレポート(手順、フレームワーク)を返してくれた。ここまでは、まあ「賢い検索」の延長だ。

ステップ2:AIに「AI用のプロンプト」を”自動化”させる

ここからが本題。 僕は、さっきAIが作ってくれた「良いブログの書き方レポート」をAI自身にもう一度見せて、こう頼んだんだ。

「ありがとう、よく分かった。じゃあさ、今あなたが教えてくれた『良いブログの書き方』の手順に沿って、実際にブログ記事を生成できるAIを作るための”プロンプト”を作ってくれない?

できた。「プロのブロガー」として振る舞い、特定のステップ(ペルソナ設定、キーワード立案、構成案作成)を踏んで記事を生成するための、詳細な指示書(プロンプト)を作ってくれた。

「プロンプトエンジニアリング」って、僕らが必死に考えるものだと思ってた。でも、AIは自分が教えてくれた「あるべき姿」に基づいて、自分を動かすための「プロンプト」すら自動化してくれたんだ。

ステップ3:業務(チラシ作り)でも「AI相談役」が活躍

この方法は、ブログ記事だけじゃなかった。 業務で内製するチラシ作りでも、「チラシ作りの考え方」をAIに調べさせ、その考え方に沿って「ペルソナ設定」や「キャッチコピー」を相談する「AI相談役(Gem)」を作った。

結果は期待どおり。 ガイドライン(AI自身が調べてきた『あるべき姿』)に沿ってくれるから、的外れな回答が減って、すごく満足いくアウトプットが返ってくるようになった。

結論:「プロンプトエンジニアリング」は死なない。ただ”民主化”されるだけだ。

さて、ここで最初の問いに戻ろう。 「プロンプトエンジニアリング」はもう要らないのか?

僕の結論は、「ノー」だ。でも、その意味は大きく変わっていく。

これまで「プロンプトエンジニアリング」が一部の専門家や、感度の高い人たちの「技術」だったとしたら、これからは違う。 AIに「あるべき姿」を学ばせ、AIに「プロンプト」を作らせることで、誰もがAIのポテンシャルを最大限に引き出せるようになる

つまり、AI自身の手によって、「プロンプトエンジニアリング」は”民主化”されるんだ。 専門家がゼロから呪文を考える時代から、AIが作った呪文を僕らが「これでOK?」と確認・調整する時代になる。

AI時代に必要なのは「完璧な指示」より「まず試す」マインドセット

僕らがこの「AI活用」の波に乗るために本当に必要なのは、「完璧なプロンプト」をひねり出す能力じゃない。 それは、「とりあえずAIに相談してみよう」という気軽なマインドセットだ。

AIを「間違うはずのない完璧なツール」として恐れるんじゃなく、「ちょっと物知りな相談パートナー」くらいに思うこと。 「プロンプトが難しい」? なら「プロンプトの作り方、教えてよ」ってAIに聞けばいい。ミスっても大丈夫。だってAIは怒らないし、何度でもやり直せるんだから。

「プロンプトエンジニアリング」という言葉の重さに圧倒されて動けなくなるより、まずは気軽にAIに話しかけてみる。 AI時代への適応って、案外そういうシンプルなことから始まるのかもよ。

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大下勇次
管理人
地方で働く30代デスクワーカー。 新しいモノ・面白いモノが好きで、3Dプリンターやドローン、VRゴーグル等色々手を出しては一通り触って飽きて次のおもちゃに手を出してます。 忙しい毎日だからこそ、趣味で買ってるガジェットを活かして毎日をちょっと快適にしたり、ちょっとした工夫や"いいモノ"で暮らしが豊かになる瞬間が好きです。 学生時代には写真や映像の撮影編集などをかじってて、以前はYoutubeにも投稿していました。今は殆ど放置状態ですが、Youtubeへの投稿も一通り遊んだ趣味の一つです。
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