ガジェット
PR

A1 mini 買い替えレビュー:旧世代機は「引退」だ。UXが違いすぎる。

大下勇次
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

Bambu Lab A1 miniを手に入れて、僕は確信した。5年前に買った3Dプリンターは、もう「引退」させていい。

Bambu Lab A1 miniのフットプリント(設地面積)はM1 Macbook air 13インチと丁度同じくらい

もしあなたが僕と同じように、数年前の3Dプリンターを「まだ使えるし…」と使い続けているなら、この記事を読んでほしい。これは単なる「高速化」の話じゃない。例えるなら、「古いMTの軽トラ」から「最新の安全装備満載の快適な軽自動車」に乗り換えるような、体験の質(UX)が根底から覆る話だ。

5年前の3Dプリンター、まだ使えますか?

僕が5年前に手に入れたのは「ANYCUBIC Mega Zero 2.0」だった。当時としては十分な性能で、確かに必要なときに必要なだけ、オーダーメイドのアイテムを出力できる魔法の機械だった。

5年前に買ったANYCUBIC Mega Zero 2.0。大きくて邪魔だし普段使わないので屋根裏部屋におしやられてる。

旧世代機(古いMT軽トラ)の限界と「買い替え」の迷い

だが、その「魔法」には、あまりにも多くの「儀式」が必要だった。

  1. まず、Fusion 360でモデリングする。
  2. 次に、Curaでスライス設定を追い込む。
  3. データをMicroSDカードに移す。
  4. プリンター本体の見づらい液晶画面で、英数字の羅列から印刷すべきファイルを探す。
  5. 「あ、レベリング狂ってるかも」と不安になり、A4コピー用紙をノズルとベッドの間に挟み、四隅のダイヤルを回して「紙1枚がギリギリ通る高さ」に手動で調整する……。

この儀式を経て、やっと印刷を開始しても、とにかく遅い。推奨値を超える120mm/sに設定しても、結局はノロノロと動き、巨大な造形物には丸一日かかることもザラだった。

思えばこれがMega Zero君最後の出力。ビルドプレート汚いのは御愛嬌で……

 3Dプリンターとは、「価値に負けず劣らずの面倒くささと手間がかかる機械」であり、決して手軽に使える代物ではなかった。これが僕の常識だった。だから、「A1 mini」が高速だと言われても、同じ入門機クラスへの「買い替え」にどれほどの価値があるか、ずっと迷っていた。

なぜ今「A1 mini」だったのか

結論から言えば、その迷いは完全に間違いだった。僕が求めていたのは、最上位機種(最新のSUV)の多機能性じゃなかった。旧世代機(MT軽トラ)の「面倒くささ」から解放され、快適に「移動」できること。それこそが「最新の軽自動車」であるA1 miniが提供する価値だった。

A1 miniの荷姿。上に乗ってるのは同時に買ったフィラメントとか。

 

A1 mini レビュー:これは「最新の快適な軽自動車」だった

A1 miniは、僕が5年間で常識だと思っていた「儀式」のほとんどを破壊した。

驚異のセットアップ:開梱から「自動調整」完了まで30分

マジで驚いた。開梱して、輸送用の固定具を外し、いくつかの部品(ワイパーとスプールホルダー)を取り付けるだけ。

箱から取り出したままの姿。組み立てはほぼ必要なし

電源を入れると、プリンターが自動でキャリブレーション(振動補正、モーターノイズキャンセル、自動ベッドレベリング)を開始する。もうA4コピー用紙はいらない。高密度の自動測定が、あの面倒な手動レベリングより高精度に完了する。 この体験は、もはや「セットアップ」というより「起動」に近い。

自動で各種キャリブレーションをしてくれる。ベッドレベリング面倒だったので助かる……

アプリ連携と「高速」印刷が生む、異次元の快適UX

A1 miniの体験は、旧来の「PCとSDカード」の往復作業を過去のものにする。

  • 洗練されたスライスと転送: もちろんスライス作業は発生している。だが、PCの「Bambu Studio」やスマホアプリ「Bambu Handy」を使えば、その作業は裏側でシームレスに行われる。ユーザーが意識するのは「どのモデルを印刷するか」だけだ。MicroSDカードを抜き差しする手間からは完全に解放される。
  • 遠隔監視と操作: 印刷の進捗はスマホで確認できる。旧世代機のように、本体の液晶を覗き込む必要はない。
  • 圧倒的な「高速」印刷: テスト用の「3D Benchy(船のモデル)」が、信じられない速度で完成した。これはもう、旧世代機の120mm/s設定(それでも遅かった)とは比較にならない。 A1 miniに最初から入っていた3d benchyは20分でできる。

「モデリングしたら、スマホで選んで、すぐ高速で出てくる」。 僕が5年間かけてやっていた面倒な作業は、すべてプリンター側が自動でやってくれる。これこそが「別次元の快適UX」だ。

スマホアプリからプリントも監視も簡単

 

【要注意】A1 mini セットアップ最大の罠:「Wi-Fi」に接続できない

ただし、この快適な体験にたどり着くまで、たった一つだけ「罠」があった。それがWi-Fi接続だ。

症状:SSIDに「数字」が含まれていると認識しない問題

セットアップ中、自宅のWi-Fiにどうしても接続できなかった。 調べてみると、Reddit(海外の掲示板)で「SSID(Wi-Fiネットワーク名)に数字が含まれていると接続できない」という情報を見つけた。

僕の自宅のSSIDには、運悪く数字が含まれていた。Redditでは「ファームウェアアップデート(FW)で解決済み」とも書かれていたが、最新のFW(v1.07.00.00)にアップデートしても、僕の環境では解決しなかった。

当然のようにタッチパネル採用してるの素晴らしいUI。ただしQWERTYキーボードはちょっと小さいのでコツが要るかも

 

解決策:テザリング経由のFWアップデートと、ルーター設定変更

もしあなたが同じ問題に直面したら、こう解決してほしい。

  1. 一時的な接続の確保: まず、iPhoneのテザリングなど「数字を含まないSSID」でA1 miniをインターネットに接続する。
  2. FWアップデートの実施: 念のため、プリンター本体のファームウェアを最新版にする。
  3. 恒久的な対策(推奨): ルーターの設定画面を開き、A1 miniが接続する「2.4GHz帯」のSSIDを、「数字を含まない新しい名前」で追加作成する。 もしあなたがWifiの設定について詳しくなかったら、ブラウザのURL欄に「192.168.1.1」と入れると、割と高確率でルーターの設定画面に行けると思う。
  4. A1 miniを新SSIDに接続: プリンターを、その「数字を含まないSSID」に接続する。

これで、安定した接続が確立できる。これはBambu Labが早急に解決すべき問題だが、知っていれば回避できる。

A1 miniは「買い替え」の正解か? 初回プリント品質と結論

さて、肝心の品質だ。

「高速」でも品質は十分。ただし冷却ファン音はそれなり

驚くべきことに、印刷が段違いに速いだけでなく、その品質も良好だった。初回テストプリントの「3D Benchy」は非常に良好な品質だった。もちろん、一部にわずかな糸引きは見られたが、これはフィラメントの温度やリトラクション設定で詰めていける範囲だ。

糸引きはあるけど、20分でBenchyが出てくるのはびっくり

 

ただし、動作音はそれなりにする。モーター音は驚くほど静かだが、それを冷やすための「冷却ファン」の音が結構目立つ。静かな寝室での運用は厳しいかもしれない。

結論:旧世代機ユーザーは、今すぐ「引退」を検討すべきだ

A1 miniは、「買い替え」の明確な正解だ。

5年前の3Dプリンターが「古いMTの軽トラ」なら、A1 miniは「最新の快適な軽自動車」だ。 手動レベリング、MicroSDでのデータ転送、遅い印刷速度……。僕たちが「3Dプリンターとはそういうものだ」と諦めていた面倒な作業は、すべて過去のものになった。

もしあなたが古いプリンターを使い続け、その「面倒くささ」のせいで3Dプリントから少し距離を置いているなら、A1 miniはその距離を一気にゼロにしてくれる。 旧世代機は、もう十分役目を果たした。「引退」させて、この別次元の快適なUXを手に入れることを強く推奨する。

オーバーハングだらけの円形の穴が垂直に配置されてるこんなモデルも問題なく出力できる。感動。

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
大下勇次
大下勇次
管理人
地方で働く30代デスクワーカー。 新しいモノ・面白いモノが好きで、3Dプリンターやドローン、VRゴーグル等色々手を出しては一通り触って飽きて次のおもちゃに手を出してます。 忙しい毎日だからこそ、趣味で買ってるガジェットを活かして毎日をちょっと快適にしたり、ちょっとした工夫や"いいモノ"で暮らしが豊かになる瞬間が好きです。 学生時代には写真や映像の撮影編集などをかじってて、以前はYoutubeにも投稿していました。今は殆ど放置状態ですが、Youtubeへの投稿も一通り遊んだ趣味の一つです。
記事URLをコピーしました