動画の音声をキレイに録音したい。
カメラの内蔵マイクで録っているけどいまいち満足できない。
どんな機材を買えばいい音で録音できるの?
音の仕組みさえ理解できれば、安い機材でも今よりいい音が録れます!
- いい音で録音するには?
- 内蔵マイクだとノイズが多くなる理由
- シチュエーション別オススメマイク3パターン
動画でいちばん大事な音。音さえキレイに聞き取れれば、多少映像が粗くても視聴者は見てくれますが、音声が聞き取れないと何いってんだかわかんない動画になってしまい、視聴者は離れてしまいます。
しかし音は目に見えないだけによくわからないし、機材も馴染みのないものばかりで何を用意すればよいのかわからないんじゃないでしょうか。
この記事では、機材系Youtuberとして音声関係の機材も使っている私が、音の原理を踏まえていい音で収録する方法を紹介します!
いい音で録音するには?
まず結論からお伝えします。
ほんとこれだけで、今使っているマイクでも今よりいい音が録れます。
仮にマイクが遠くにあった場合、マイクは自分の声(録りたい音)よりもノイズ源(外を走る救急車のサイレンとか、扇風機やパソコンのファンの音とか)のほうが近くにあるかもしれません。
近くの音と遠くの音とでは当然近くの音のほうが大きく聞こえるので、そんな環境で頑張って喋っても、ノイズだらけで聞けたもんじゃないでしょう。
なので、マイクを口元に近づけることで、マイクから見たとき(聞いたとき?)に自分の声の大きさを大きくすることができ、反対にノイズ源の音は小さくすることができるので、マイクを口元に寄せるだけでノイズは少なくなります。
ここまで聞いて、機材に詳しい方なら
ガンマイクみたいな指向性の強いマイクを使えば関係ないのでは?
と考える方もいるかもしれません。半分正解なんですが、それでもやはりマイクは口元に近づけたほうが良いのです。
水色の三角形を指向性の範囲だと思って見てください。
確かに指向性を強めることで、その範囲外のノイズは抑えることができます。
しかし、いくら指向性を強めたとしても、マイクが口元から遠いとその分声を拾うために音量設定(ゲイン)を大きくする必要が出てきて、結局指向性の範囲内にあるノイズも大きく拾ってしまいます。
例えば部屋の反響音なんかも、ゲインを大きくすると結構気になります。
なので指向性のあるマイクは使いつつ、さらにマイクを口元に近づけることで音量設定を小さく抑えてあげれば、ノイズ源は指向性の外にあるか、あるいはゲインが低くてマイクが拾わない程度に抑えられ、結果的にノイズのないキレイな、良い音で収録できます。
マイクを近づけると、マイクに入る自分の声が大きくなるため、その分ゲインを低く抑えることができて、ノイズが少なくなる。
内蔵マイクだとノイズが多くなる理由
ここまで読んでもらえたなら、内蔵マイクだとノイズが多くなる理由がわかると思います。
内蔵マイクだと、マイクを口元に近づけることができないからノイズが多いんです。
もちろん、マイク自体の品質があまり高くないこともあるとは思いますが、かといって良いマイクをカメラの上に載せても、結局マイクが遠ければあまり意味がありません。なのでカメラの上に乗せるタイプのガンマイクなどは、あえてそういうのを使う理由がない限りオススメしません。
特にカメラってオートフォーカスの音とか、場合によってはカメラやディスプレイのファンの音などが生じるため、実はノイズ源になることもあります。普通にしてたら気にならないけど、内蔵マイクで撮ると結構こういった音が入ったりするんですよね。
音は距離の2乗によって大きく聞こえたり小さく聞こえたりするため、文字通り1センチでもマイクを近づけるのが大事です。
だからこそYoutuberはなんか高そうなマイクを口元に持ってきて
音響マンはなんか長い棒でマイクを役者に近づけて
ニュースキャスターは胸元にピンマイクを仕込むんです
これらを踏まえて、次はおすすめの機材をご紹介します!
シチュエーション別オススメマイク3パターン
何度でも言いますが、いい音のコツはマイクを口元に近づけること。
撮影の種類によっておすすめの機材セットをご紹介します!
机の前で喋るゲーム実況やハウツー系におすすめ:コンデンサーマイク
腰を据えて収録できる環境なら、音質を求めてコンデンサーマイクを購入すれば、まず良い音が狙えるでしょう。
マイクプリアンプを通してカメラに繋いでもよし、オーディオインターフェースに繋いでパソコンで収録してもよし、なんなら歌ってみたにチャレンジできる音質を秘めているのが(サイドアドレス型)コンデンサーマイクです。
私が最初に買ったのはAT2050。
オーディオテクニカのこのマイクは、単一指向性だけではなく、無指向性や双指向性にも切り替えることができるため、収録環境によっては色々な収録方法が試せます。
Youtubeでの使用からは外れますが、楽器の収録をしたときは、部屋の鳴りも聞いて一番いい音が結像しているポイントに無指向性にしたこのマイクを置くことで、バランスの取れた音を収録することができました。
もしももっと安く始めるなら、AT2035も良いかもしれません。
AT2050はDCバイアス・コンデンサー型なのに対して、AT2035はバックエレクトレットコンデンサー型マイク。
DCバイアス方式ことが本当のコンデンサーマイクだって言われていますが、それでもAT2050より1万円も安いのは魅力的。
ごめんなさい私は使ったこと無いので音質の評価ができませんが、興味があればYoutubeなんかで型番を検索して音質比較を見てみてください。安さは正義。
逆に妥協はしたくない方、AT4040をどうぞ。
これは私がAT2050からのステップアップに購入したマイクで、多くの方に使用されている定評のあるマイクです。
まさにクセのない音。AT2050だとなんだかギラついた音というか、「コンデンサーマイクで録ったらこういう音だよね」みたいな音なんですが、AT4040はそれがなく、素直に良い音だな、と感じる音を鳴らしてくれます。
実際に私の動画でも話題に上げてますので、よかったらご覧ください。
AT4040の音が素直すぎて編集がよくわからなかった回↓
AT4040とZoomH1(1万円のハンディレコーダー)で音質勝負をした回↓
ガジェット感・オタク感を薄めたいならガンマイクで画角の外から
顔出しYoutuberの場合、顔の正面にマイクがあるのはあんまり……ということもあります。
そういう場合は、ガンマイクの鋭い指向性で自分の声だけを狙って収録しましょう。
もちろん、カメラの上に乗せるんじゃなくて、マイクアームなんかを使って、できるだけ自分の口元に近づけて使います。
参考までに、私の最近のセットアップの場合、このようにブームでガンマイクを寄せて使ってます。カメラとは別にセットすることで、限界まで口元に近づけるのが大事です。
上の写真にも出てきた私のマイクはゼンハイザーのMKE600。
ファントム電源でも動くし、単三電池でも動くし、XLR端子だって3.5mm端子でだってつなぐことができる万能マイクです。万能は言いすぎかな?
ドキュメンタリーみたいな撮影の場合、カメラとマイクを別にできなければ、やむなくカメラの上にマイクを乗せることだってあると思います。そういうとき、このマイクなら一眼カメラ等にも直接接続できるので使い勝手が非常に良い。
あるいはマイクを口元に近づけさえすれば良いので、こんなちっちゃいマイクだって良いと思います。
RODEのVideomicroはその名の通り小ささに全振りしたようなマイク。
普段からカメラに挿しっぱなしにしていても、他のマイクよりはじゃまにならないし、それでいて多少マシな音で撮影できる。
それにウインドシールド(もこもこ)もつけられるので、屋外での撮影に効果を発揮するでしょう。
オススメは、このマイクをアームの先につけて、さっきのMKE600みたいに運用する方法。コンパクトだけど要はマイクを口元に近づけられるので有効です。
動き回る撮影や、机にマイクをセットしたくない人にはピンマイク
リビングで撮影するときなんかによく使ってます。
胸元にピンマイクを仕込んでしまえば、歩き回りながらでも安定した音が収録できるので、結構オールマイティに使えるんじゃないでしょうか。
難点は、いちいちマイクを仕込まなきゃいけないこと。でも机にマイクのセットするのとどっちが良いかってところなので、ご自分の生活スタイルや撮影スタイルに合わせて選んでみてください。
安くてもまともな音が録れるいい例がありました。私が使ってるピンマイクは安いです。AT9904、3000円くらい。
いつ買ったのかも覚えてないし、買ってから数年放置してた気もしますが、ちゃんと胸元に仕込めば普通に使えます。
この動画の音声は全部AT9904をZoomのH1というハンディレコーダーに繋いで収録していますが、普通に聞こえるでしょ。
ちなみにさっきの動画、1分35秒のあたりからピンマイクの仕込み方を紹介しているので、この運用を考えている人は是非見てみてください。
しかし安さにかけては随一のこの方法にも大きな欠点が。
外部レコーダーで収録すると、動画編集のときに映像と音をくっつけなきゃいけません。割とめんどい。
でも大丈夫!お金を払えば解決できます!!!
SONYのECM-W2BTは最近登場したワイヤレスマイク。というか、マイクのワイヤレス化キットみたいなやつ。
カメラとマイクとを無線でつないでくれるので、マイクの音を直接カメラに収録できます。しかもケーブルレス。
よくある格安ワイヤレスだと2.4GHzのwifiと同じ電波を使うため、市街地などでは不安定になるそうですが、この子はBluetoothコーデック Qualcomm aptX Low Latencyなる技術を使っているそうで、人が多い環境でも安定して使えるんじゃないかなと期待しています。欲しい。
おまけ:屋内収録ならdbx286sを通すとノイズを消せることも
ピンマイクでの撮影は別にして、コンデンサーマイクやガンマイクでの撮影の場合、さらにこの機材を買えばもっといい音が狙えるかもしれません。
dbx286sはマイクプリアンプという、マイクの音量を増幅するための機械。
でもその真の姿は、コンプレッサー・ディエッサー・エンハンサー・ノイズゲートが一体になった何でも屋なんです。
以前の動画でも紹介しましたが、このノイズゲートがほんと便利。
自分が喋ってないときは、いわばマイクを勝手にオフにしてくれるようなもので、こいつがあれば多少ノイズが乗ってても気にならなくできます。
もちろん、元からノイズがない環境を用意して撮影するのがベストですが、正直日本の住環境で完ぺきを求めるほうが無理な話。こういう便利な機材も是非活用して、楽しい動画制作ライフを送ってください!